なぜ、真空なのに「分けて保存」できる容器を作ったのか。
空蔵(KURA)の開発は、特別な市場調査から始まったわけではありません。
きっかけは、実家で見慣れていたお米の保存風景でした。
白米と玄米を混ぜて炊くのが当たり前の家庭。
袋のまま保管していて、「これは開封済みだったかな?」「気づいたら古くなっていた」──そんな光景を、ごく自然なものとして見てきました。
きっと、この悩みは我が家だけではない。
そう思い、市場を調べ始めました。
市場には「あと一歩」の製品しかなかった
調査を進める中で、ひとつの事実に気づきました。
真空保存容器はある。
分割できる米びつもある。
でも、
「真空保存」と「分けて保存」を両立した製品は存在しなかったのです。
白米と玄米を鮮度を保ちながら管理したい。
品種ごとに分けて保存したい。
言われてみれば当たり前のニーズなのに、それに応える製品はありませんでした。
理由もすぐに分かりました。
真空保存は、容器全体を一つの密閉空間として成立させる構造が前提です。
内部を区切ろうとすると、それぞれの区画で気密性を確保する必要があり、構造もコストも一気に複雑になります。
さらに、市場では
- 真空保存=大容量・備蓄向け
- 分割収納=冷蔵庫や小容量向け
という住み分けが長く続いており、その境界を越えようとする製品がありませんでした。
でも、裏を返せば、それはまだ誰も挑戦していないということ。
私たちは、そこに可能性を感じました。
答えは「インナーケース」という発想でした
辿り着いた答えは、インナーケースです。
外側の容器で真空空間をつくり、その中に脱着可能なケースを組み合わせる。
一つの容器でありながら、中では白米と玄米、あるいは異なる品種のお米を分けて保存できる構造です。
もちろん、インナーケースを追加することはコストのかかる選択でした。
それでも、「分けて守る」という体験を最も自然な形で実現できる方法は、これしかないと考えました。
毎日使うものだから、「ちょうどいい」を何度も探した
試作では、インナーケースの容量にも時間をかけました。
容量が大きすぎると持ち上げるたびに重い。
小さすぎると補充の回数が増えてしまう。
そのバランスを探るため、何度も試作と検証を繰り返しました。
最終的に、
- 7.5kgモデル:3.5kg+1.5kg
- 10kgモデル:5.0kg+2.5kg
という構成にたどり着きました。
主食の白米をたっぷり入れながら、玄米や雑穀、別品種のお米も自然に使い分けられる比率です。
「開けなくても確認できる」ことにも意味がある
真空保存容器は、中を確認するだけでも蓋を開けなければならない製品が少なくありません。
蓋を開ければ真空は解除され、再び減圧が始まります。
バッテリーを消費し、完了するまで待つ。
一回一回は小さなことでも、毎日繰り返せばストレスになります。
そこで空蔵では、蓋に小窓とLEDライトを設けました。
真空を解除することなく、お米の残量を確認できます。
また、保存開始からの日数を最大99日まで表示できるデジタルパネルも搭載しました。
「いつ入れたっけ?」
そんな日常の小さな不安も、できるだけなくしたいと考えたからです。
四角いことにも、理由があります
市場にある真空保存容器の多くは丸い形をしています。
真空構造をつくりやすいという理由がある一方で、実際のユーザーの声を調べると、
「棚に置くと隙間ができる」
「四角いタイプが欲しい」
という意見が数多く見つかりました。
機能ではなく、"形"への不満です。
だから空蔵は、スクエアフォルムにもこだわりました。
収納しやすく、空間に自然と馴染むこと。
木の温もりや、日本の暮らしが持つ静けさにも調和するデザインを目指しました。
カラーもマットホワイト、マットブラック、マットブラウンの3色。
どれも、「空間に溶け込む」ことを第一に考えて選んでいます。
暮らしに寄り添う保存を目指して
空蔵は、お米を真空で保存するためだけの製品ではありません。
分けて保存できること。
開けなくても確認できること。
毎日、気持ちよく使えること。
そんな小さな使いやすさを積み重ねながら、お米を最後の一粒までおいしく味わっていただくための保存容器です。
このプロダクトが、毎日の食卓を少しだけ豊かにする存在になれたら。
そんな想いを込めて、一つひとつ形にしてきました。